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■目の老化対策
目は情報の80~90%をキャッチしている非常に重要な器官。
起きている間は常に働き、大きな負担がかかっています。
年齢とともに「近くが見えにくい」「疲れやすい」といった、老眼の症状が出始め、白内障なども起こりやすくなります。
■老眼の原因は、ピント調節がうまく機能しなくなるから
老眼は、遠くをみたり、近くを見たりするときのピント調節力の衰えから起こります。
目は、水晶体や角膜など、光を屈折するレンズの役割をする組織で構成されています。
特に水晶体はモノを見るとき「毛様体筋」という筋肉を収縮させ、厚みを変えることでピントを合わせています。
近くを見るときは、水晶体は厚くなり、逆に遠くを見るときは薄くなります。
しかし、加齢とともに毛様体の筋力は衰え、水晶体も弾力を失ってきます。
その結果、ピントを素早く合わせることが出来ず、モノが見えにくかったり、疲れやすくなるのです。
近視ではもともと近くに焦点が合いやすいため、老眼と自覚しにくいと言われますが、普段遠くを見るために使用する眼鏡をかけた状態で近くのものがボヤけるなどの症状が出ます。
「近視の人は老眼にならない」という説は誤りだと言えますね。
■30代後半から老眼の初期症状
老眼の症状は、30代後半から始まっていると言われます。ただし、多くの人が自覚し始めるのは45歳前後になってから。その後、年齢とともに老眼は進み、視力が安定するのは60歳前後と言われています。
老眼の初期症状として代表的なものは、夕方ごろになると遠くが見えづらくなる、ドライアイのように目が乾く、といったもので、ひどい時は頭痛や肩こりを起こす場合があります。しかし、たいていは疲れ目と思ってしまいがちなのが実情です。
老眼は、疲れ目と間違いやすいので、自覚するころにはかなり進んでいることもあるのです。
老眼と疲れ目の違いは調整力があるかどうか。30センチ程度の距離にある文字が読みにくければ老眼の可能性があります。
■老眼以外の症状にも要注意
年齢のよる目の老化は、老眼だけではありません。老眼による疲れ目のほか、白内障、加齢黄斑変性なども現れます。
中高年になると、目の疲労が肩こりなどの他の不調にも繫がりやすいために、日ごろのケアが大切になります。
身近な方法としては目のストレッチ。2メートルくらい先にピントを合わせ、次に手元にピントを合わせる。これを繰り返して毛様体を鍛えます。
■目が疲れる現代社会
現代はパソコンでのデスクワークなど近くを見ることが多い生活です。そのため、ピントを合わせる毛様体が疲れやすくなっているのです。
また、パソコンに集中すると、まばたきの回数が減るため、涙の量が減り、目が乾燥しやすくなります。さらに空調や気密性の向上で室内が乾燥していることもドライアイの原因となっています。
■アスタキサンチンがピント調節を改善する
疲れ目、ドライアイを防ぐには、パソコン使用時は1時間に10分は作業をやめて目を休めることを心がけましょう。
毛様体筋や網膜の血流改善、疲労回復のために栄養バランスを整え、ビタミンや抗酸化物質を摂ることも大切です。
その中でも注目の成分が「アスタキサンチン」です。
鮭やいくらなどに含まれるカロテノイドの一種で強力な抗酸化作用を持っています。
老眼を自覚する人にアスタキサンチンを含む食品を摂ってもらったところ、ピント調節力が向上し、疲れ目なおにも改善が見られたというデータもあります。
■「ブルーベリー」「黒大豆」が疲れ目を緩和
「ブルーベリー」と「黒大豆」にも注目です。目から入ってきた情報は網膜の視細胞に存在するロドプシンに変化し、脳に刺激として伝わります。見るたびにロドプシンは形を変え、すぐにもとの形に再合成されます。
ところが、使いすぎると再合成がうまくいかず、情報を素早く伝えられません。
ブルーベリーや黒アイズに含まれる青紫の色素アントシアニンは、ロドプシンの再合成を促し、疲れ目を改善させます。また、抗酸化作用で活性酸素のダメージを防いだり、目の毛細血管を強くしなやかにしてくれる働きもあります。
青魚に多く含まれる「DHA」も目に良い成分です。網膜細胞に豊富に含まれ、細胞膜を柔らかくし、情報伝達をスムーズにします。
■加齢とともに目のリスクは増える
体の老化と同じように、目も加齢によって老化が進み、病気へのリスクも高まります。その代表的なものは「白内障」と「加齢黄斑変性」です。
「白内障」は早い人では40代から、80代では大部分の人に見られます。「加齢黄斑変性」は、50歳以上の約1%に見られ、高齢になるほど多く見られます。
高齢化と生活の欧米化により近年、著しく増加しており、日本人の失明原因の第4位となっています。
■有害なブルーライトを吸収するルテイン
白内障や加齢黄斑変性への対策に注目してほしいのは「ルテイン」です。
ルテインは、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に含まれるカロテノイドの1種。
目との関わりも深く、目の黄斑部と水晶体で有害な青色の光を吸収する働きを持っています。そのため、ルテインが不足すると加齢黄斑変性にかかるリスクが高まり、逆に十分に補っていると、リスクが軽減すると言われています。
最近のデータでは、ルテインを半年ほど摂取すると黄斑色素濃度が高まり、まぶしさがある状態での視覚能力が有意に改善したという結果が出ています。また水晶体に対しても白内障のリスクが約20%低下したというデータもあります。
■定期健診やセルフチェックを
加齢による目のトラブルは早期に発見すれば進行を遅らせることもできます。
40歳を過ぎたら年1回、50歳を超えたら年2回は眼科で定期健診を受けると良いでしょう。
特に裸眼で過ごしてきた人は意識して検診を受けたいものです。
目は片目が不調でも、もう一方で補えるので症状に気づきにくく、自覚したときには進行していた、とうこともあるからです。
また、紫外線は活性酸素を発生させるため、紫外線の強い地域に住む人や野外で働く人は白内障を発症しやすいと言われています。なるべく強い光を浴びないようにしたいものです。